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音楽と数学の相関関係:神経生物学的見解

The Correlation Between Music and Math: A Neurobiology Perspective by Cindy Zhan

“クラシック音楽は数学的能力を高めるのを知っていますか?”と初めて聞いた時、何の繋がりもなさそうな音楽と数学の二教科がどのように影響し合うのか興味が湧いた事を覚えています。また、クラシック音楽が私の数学能力を桁外れなレベルへ一変させてくれる魔法の薬のように見え興奮しました。ウェブ記事を書く機会をいただいた際には、すぐこの音楽と数学トピックについて書くことに取りかかりました。この記事を通して、音楽を聴くことが本当に数学能力を伸ばすのか?もしそうならば、どの脳の部分が音楽と数学の相関関係をコントロールしているのか?について答えたいと思います。さらには、どのように音楽が脳の数学能力を伸ばすよう刺激するのでしょうか?

音楽による数学能力に対してのプラス効果を示す研究結果が多々示されています。多くの研究で、子供達が若くして音楽のトレーニングを受けると、数学能力が伸びる傾向にある結果が出ています。この研究で驚くべきことは、音楽自体が数学能力に影響するわけではないという事です。音楽の特定の側面が数学スキルに大きく影響すると言われています。小さい子供達を対象にした研究の多くは、一定の音楽教育とトレーニング後に学力が伸びたという結果を示しています。’Nature’というジャーナルで発表されたある研究では、音楽の一連のスキルやリズムや音程を含んだ音のゲームの音楽指導を6ヶ月受けた一年生のグループは、通常の音楽の授業を受けた一年生のグループに比べて算数において著しく良い結果が見られました。

この研究結果では、もう一つ大事な問題を提起しています。どのように音楽指導が児童の算数の能力を向上させたのでしょうか?2つの理論があり、時空間理論(ST)と言語分析理論(LA)です。LAは方程式を解いたり数量を示す答えを出すことが含まれており、STはチェスのような先の動きを予測するアクティビティで使われる能力です。音楽の数学への影響はモーツァルト効果と呼ばれることがあります。モーツァルト効果はその名の通り連続性がありSTの短期効果のあるモーツァルトの作品を聴いた事による発見から名付けらています。STで使われている主な特徴は、1.頭に思い浮かべた物の時空間上での変換と関連付け、 2. 物理的イメージと精神的イメージを比べる際に生まれる大脳皮質での脳神経細胞から放たれる発火パターンの対称性、そして3. それらの固有の大脳皮質パターンの自然な時系列です。

モーツァルト効果の実験を行った同じ研究者達はSTこそ数学能力には重要と見ています。数学においてSTの能力を必要とするのは、時空間でのイメージの変化を必要とする幾何学や微分積分です。高度な数学では、数式などを論理的に証明し答えを導き出すことにもSTの力に関係しています。なぜなら証明を書くには自然にこうなるだろうという直感的な感覚と先々を考える力を必要とするからです。

数学と音楽の相互関係を脳のどの部分がコントロールするのかについても、多くの研究結果が答えを示しています。Dr. Gottfried Schlaugの研究では7歳より前に音楽指導を始めた音楽家の脳梁(右脳と左脳のコミュニケーションを行う経路)や右側の運動皮質(左側の様々な体をコントロール)といった脳の一部が大きいことを発見しています。Xiaodeng Leng氏とGordon Shaw氏は、音楽を聴いた時にそれらの脳の部分に何が起こるのかを調べる実験を行なっています。彼らは、皮質組織の神経網を元に高次脳機能のモデルを築きました。トリオンモデルは、哺乳類の皮質にある基本的な神経網を柱とし、これを計算の単位であるとしたマウントキャッスル組織原理を数学的に高度に構造化したものです。この柱は、トリオンと呼ばれる神経網で構成されています。トリオンの特定の柱状ネットワークには、沢山の種類の脳内の時空間の発火パターンがあり、これを興奮させて、記憶や高次脳機能で使用することができます。Shaw氏とLeng氏は、特定の柱の発火パターンのトリオンモデルを、知っているスタイルの音楽に使われている様々な音程や楽器にマッピングする実験を行いました。このトリオンのマッピングが音楽と時空間理論に関係する神経プロセスを関連付けるための見識を与えてくれました。様々な時空間の発火パターンを含む大脳皮質の一部が音楽によって興奮し、数学で必要な時空間理論などの高次脳機能で利用できる事を示していす。

まとめると、私の数学と音楽の研究では、音楽は数学能力を伸ばすことを示唆しています。音楽は数学で必要な時空間理論の利用を促す脳の部分を対象に刺激をします。しかし、音楽は人の数学能力を伸ばす魔法の薬かどうかの問いには残念ながら答えは
noでしょう。なぜなら、殆どの数学者は音楽が好きだからといって、全ての音楽家は数学が好きとは限らないからです。14歳の頑張り屋さんが数学の教授へ書いたウェブに投稿された手紙を見つけました。その生徒は素晴らしいミュージシャンでしたが、数学が苦手科目というイライラをぶつけていました。彼は数学では、彼は権威ある学術課程に必要な成績を上げていませんでした。

この手紙は、音楽を聴くことまたは楽器を演奏できるようになることは自動的に数学ができるようになるとは限らないと示唆しています。言い換えれば、音楽が得意なミュージシャンはたくさんいるが数学は得意ではないということです。音楽は、数学的パターンや数式に従う音符以上のものです。パターンの複雑さが音楽をとても楽しいものにしています。これらのパターンが数学に似ているかどうかは、多くのミュージシャンとは関係ありません。多くの場合、ミュージシャンは、音楽に含まれる数学に気づいていない場合でも、音楽の凄さと尊敬の気持ちから、音楽をテキストを入力してください。

原文:The Correlation Between Music and Math: A Neurobiology Perspective